= 少女リン * 私たちのアプサラ =

世界遺産『アンコールワット遺跡』では、
奇妙で上手な日本語を操る子どもたちが、笑顔で観光客を歓待する。
ジュースやお土産を売る子、簡単な遺跡の説明をし、
ガイド料を要求する子…かわいい商売人たち。

そんな中、1人の少女と出会った。 手には一輪の花。
遺跡を見て廻った数時間、会話は殆どなかったが、
ずっと傍を離れずについてきた。そして『学校は遠くて通えない』と、
寂しげな笑顔を残し、名も告げず去っていった。

2年後、遺跡前のお土産屋が立ち並ぶ場所で、飲物を売る彼女に再会した。
背も髪も伸び…やがて村の男性と結婚し、子どもを授かるのだろうか。
その子もまたお土産売りやガイドをするために遺跡に通うのだろうか。
あるいは、その頃には全ての人が教育を受けられるようになっているのだろうか?


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